チェルノブイリ原発事故によりべラルーシのゴメリ州は放射能汚染され、ゴメリ医大の学長だったバンダジェフスキー氏は放射線被ばくの影響を研究しました。
従来の被ばくの研究は原爆、原発事故、原発作業などで放射線を受けた人の発ガン確率等が多く、食物から体内に入った放射性物質による、人間の内部被ばくの研究はほとんどありませんでした。人間に放射性物質を投与して身体の変化を調べる実験は行えないからです。
チェルノブイリ原発事故による健康被害は、半減期8日の放射性ヨウ素による甲状腺ガンのみで、心理的影響が大きいという説が通用し、半減期30年のセシウム137の影響はほとんど発表されていません。
バンダジェフスキー氏は大学病院で死亡した患者を解剖し、心臓、腎臓、肝臓などに蓄積したセシウム137の量と、臓器の細胞組織の変化との関係を調べました。
その結果、臨床研究と動物実験を併せて、体内のセシウム137による被曝は低線量でも危険との結論に達し公表しました。
バンダジェフスキー氏の結論は、低線量の放射線は健康にほとんど影響しないという政府の方針に反するので、政府は入学試験の賄賂汚職の容疑で禁固8年の刑を与えました。
国際アムネステイの働きかけもあって5年で出獄しましたが、復職はできず、性格が変り、フランス滞在後にリトアニアに移り、ビリニュスの大学で働き、今はヴクライナのキエフに居ます。
彼の資料に、体内のセシウム137排出に「成分を調節した粘土やデキストリンを含む収着剤は最も有望な腸内収着剤」と記載され(ただし動物実験)人体にはペクトパル(ペクチン剤)が有望と書かれています。
彼が発表したセシウム137内部被曝の作用です
◉心筋細胞のミトコンドリアを破壊→不整脈→心臓発作で突然死。ペースメーカーの8歳児など。
◉腎臓ネフロン壊死→腎不全。
◉膵機能、肝機能低下(脂肪肝、肝炎、肝硬変があれば更に悪化)
◉免疫不全→リウマチ性感染症、結核、肝炎、呼吸器疾患など。造血機能低下→子供の赤血球、白血球、血小板減少。
◉女性の生殖系→下垂体、卵巣、子宮系のホルモン状態変化→月経不調、炎症、子宮筋腫、不妊。テストステロン生成増大で男のような性質。
◉神経系→ノルエピネフリン、セロトニン減少。自律神経機能障害。交感神経緊張亢進。子供は慢性胃腸病。視覚系→子供の白内障、硝子体破壊、屈折異常。
◉体内にCs-137がずっとあると心臓、肝臓、腎臓の不調の原因に。最初にやられるのが心臓血管系。血管系の病理学的変化が臓器を破壊→ゴメリ市の突然死の89%が腎臓の破壊を伴い、突然死の99%が心筋不調。
◉スカンジナビア諸国は60年代から食料品中の放射性セシウムの濃度を厳しく管理し、心臓血管病が急減。一方旧ソ連は増大(悪性腫瘍も同様)
◉セシウムは男の方が蓄積しやすく、男の寿命が低下。死因は腫瘍と心疾患。
出典
Chernobyl Children's Project International
人体に入った放射性セシウムの医学的生物学的影響
Yu.I.バンダジェフスキー
久保田護訳(茨木大学名誉教授/チェルノブイリの子供を救おう会 代表 )